弊社はECサイトに関するソリューションに携わり、気が付けば15年が経過しました。15年前から考えると最近ではとても優れたツールが登場し、15年前の苦労は何だったのかと想いにふけてしまいます。 当時は海外のオープンソースを使用したサイト制作であったり、カスタマイズが必要な場合はオリジナルカートを構築していました。EC-CUEBにも大変お世話になり、EC-CUBEをプラットフォームとしてSNSをつくってみたり、購入者同士だけの掲示板や非公開コンテンツを生成できる開発をしてみたりとEC-CUBE上で実現できる仕組みを考えることにワクワクしていました。 オープンソースの弱点も検討しつつ、ASPカートも様々なサービスを利用させていただき、十数種類のカートを導入してきましたが、今となっては簡単なものから何でもできるマルチなASPカートまで選び放題といった印象です。しかし、選定には気を付けないといけません。 コスト面、冗長性と将来性、決済方法と手数料、セキュリティ面、モール連携、受発注作業者の増員、データコンバート、クリエイティブ管理などなど、検討しなくてはいけないポイントが多数あります。 安ければいいじゃないか!確かにそうです!低価格で簡易的なサイトを利用してのスタートは私たちも良くオススメすることがあります。 しかし、その例は様々な選定ポイントからクライアント様と打ち合わせをした結果からのチョイスです。 今回はどのようにしてカート選定を行っているかをご紹介したいと思います。 今回の選定ポイントは大枠で売上を上げる点を第一に考えます。次にコストです。湯水の如く投資できるのであれば選定ポイントは変わります。 結局のところビジネスですので経営判断になります。 その点を参考として読んでいただければ幸いです。 前提~~ ※売上と利益、コストも重視 ※マーケットプレイス(楽天、ヤフーショッピング、Amazon)の出店も考慮 1,何を売るか型番商品と非型番商品はECにおいて多く議論されるポイントです。製造メーカーから問屋~販売者と流通にのせられる商品で、JANコードがそもそも振られている状態で仕入れる商品は型番商品です。イメージ的にネット販売において型番商品を指すのは、どこにでも売っている商品としてザックリと認識されています。非型番商品とはオリジナル商品です。自社でしか販売していない商品、自社が開発した商品、自分で作ったアート的な物も非型番です。どちらが売れ易いかは、一長一短あります。型番商品であれば価格競争力があれば売れやすく、オリジナル商品は商品力に尽きます。型番商品で価格競争力があればモール出店が理想的です。ついでに自社のECサイトも整え、顧客化ができればモールのロイヤリティコストを軽減できます。オリジナル商品でも一般的にポピュラーな商品の廉価版や高級版など特質されたものがある場合はモール出店も検討されます。例えば家具はソファ、ベッド、ダイニングテーブルと一般的な商品ワードがあり、その中で低価格だったり、こだわりの商品だと非型番商品でありますが、価格競争力で売れる可能性が高くなります。しかしモール出店の場合、ロイヤリティが多大なコストになりますので、熾烈な価格競争が行われている中に参入するのは利益の圧迫になります。 〇型番商品~価格競争力があればモール出店と自社EC。モール連携も視野に入れる ※低価格競争になるとモールロイヤリティの圧迫になる 〇非型番商品~その商品のカテゴリーで判断。価格競争力と商品力があればモール出店検討 オリジナルECはブランディングが必要 2,アイテム数 SKU、色サイズ展開ECにおいて販売機会の可能性を広げるアイテム数は大きなポイントです。一時期には楽天やヤフーショッピングにおいてもアイテム数の取扱量は大きなポイントでした。しかし管理コストが増大し制作スタッフと受注スタッフの仕事が増えるのは当然です。世の中に流通する新商品をいち早く掲載することが売上増大の要因として運営しているECサイトもありますが、運営コストの増幅で利益を圧迫してしまいます。プロパー商品が少なく、季節ごとに商品が開発される場合もそうですが、商品数は1,000単位から1万単位に膨れ上がる傾向にあります。商品数が多ければショッピングカートの限界商品登録数とデータのバックアップが検討されます。ASPカートの各社のサーバー稼働率はかなり高いものがありますが、最初の段階で毎月のライセンス費用をコストカットしたいということであれば、よく検討しないといけません。しかし多数の商品力が高い商品をEC販売でスタートするのであればコスト面が気にならないかもしれません。 3,売上目標最初から高い売上目標を掲げるのであればモール出店は必須です。もちろんオリジナルでやりたい!モール出店はオリジナル性のブランディングができない!と考えるのであれば、自社サイト一択です。しかし自社サイトであれば即売上UPとはいきません。常に顧客が存在する、特別な広告やプロパガンダ的戦略があるのであれば別ですが、ネット広告を前提にしての自社サイト販売は地道な運営が必要になります。そう考えるとカートはASPでもオープンソースの構築でもどちらでも良いと考えます。できればASPカートで独自のマーケットプレイスと連動しているサービスであれば、そちらのサイトで商品が掲載されるので、可能性が広がります。 4,決済ショッピングカートにおいて決済方法の多様性は大きなポイントになります。超高額商品や十代がターゲットとなる商品以外は決済手段の豊富さが売上につながります。クレジットカードや電子マネー決済などの前払い決済の場合、受発注作業においても作業軽減につながります。受注があれば直ぐにピッキング作業に移れるため、入金の確認で手間をとられる心配もありません。後払いも最近多くなりましたが、決済手数料を考えた場合に少し検討が必要です。最近はShopifyをはじめ、あらゆるASPカートで様々な決済方法が利用できます。オープンソースでの構築の場合、決済サービスの審査や導入にコストがかかる場合が多いのですが、ASP系のカートの場合は即座にクレジットカード支払いが使えるものもあります。 おおきく4つのポイントを中心にカート選定を考えてみました。他にも事業部のスタッフ数や基幹システムの連携が必要など、色々な面からカート選定を行うべきです。ECサイトを運営する以上売上UPは必須の課題となります。売上が上がらない事業を最初から考える人はいません。そうなれば売上向上に従い将来性のある見通しが必要になります。カートシステムを乗り換える前提で選定を行う場合もあります。 是非じっくり検討して選定していただけたらと思います。 もし選定や制作、現在のシステムの見直しをご検討されており、お悩みがございましたらお気軽にご相談ください。